最近イジメ問題がニュースで頻繁に取り上げられているので一言。
40年近く前、俺の通っていた中学でも確実にイジメはありました。
人間としてはまだまだ未熟な中学生ですので、弱いものに強く当たる行為は
別段珍しい事でもなく、頻繁とは言えないまでも少なからず存在していたのは
事実です。
かく言う俺自身も、中学時代、ただの一度きりでしたが「イジメ」を受けた事があります。
記憶がだいぶ薄れてはいますが、美術の授業で作った作品を、クラスメートの
ちょっとヤンキーっぽい奴に破壊されました。
その上、その作品に唾を吐きかけられ、舐めろ!とまで言われました。
えてしてこういった行為は他人の目が無いところで行われます。
その時も教室内には俺と彼の二人しかいませんでした。
俺自身、当時は坊主頭のガリ勉タイプで、身長も低かった為、たまたま彼の
ターゲットになったのだと思います。
完全に屈服したくなかった俺は、破壊された作品をなんとか修復しようとしながらも、
唾を舐めろという件に関しては、断固として拒否しました。
彼はそんな俺に蹴りを入れたりしてきましたが、その時はじっと耐えていました。
そのうち教室に他のクラスメートが入って来たら、彼はイジメをやめて出て行き
結局その日はそのまま放課後になりました。
そのまま、破壊された作品を持って帰宅し、そんな事を親に言うのも恥ずかしく、
黙っていたのですが、帰宅してしばらく経った頃、お袋が
「先生来てるで・・・」
というので、玄関に出てみると、当時の担任のS先生が彼と一緒に来ていました。
何事?と思っているお袋に、S先生は教室での顛末を話し、謝罪のために
彼と一緒に来たと言いました。
話を聞いてみると、俺がイジメられている場面を誰かが見ていて、担任に報告したらしく
担任のS先生は彼を呼び出し、事実かどうか確認したうえで、力づくではなく
諭すように注意して、彼に謝罪させに連れて来たそうでした。
結局、彼は俺の前で謝罪をし、そのおかげか翌日からは、何事も無かったかの
ようなクラスメートに戻りました。
昔の教師は、このS先生のように「イジメ(かも?)という場面を発見したら」即座に
行動に移り、イジメの芽が小さいうちに刈り取るという事をやってくれていたのだと
思います。
それが出来るのは、教師という立場に立ち、何よりも子供たちのことを最優先に
考えているからに他ありません。
殆どの先生は、そうやって体当たりで子供たちに接してくれていました。
子供たちはそうやって「社会での集団生活の方法」を学んでいったのだと思います。
【教育】とは、【教え】【育てる】事だと思います。
両方揃って初めて【教育】であり、片方だけでは【教育】とは呼べません。
しかし、学校では【教える】事はしても【育てる】事はしなくなり
逆に、家庭では【育てる】事はしても【教える】事はしなくなりました。
片方を他人に転嫁することで、責任が一つ減り「楽」になるという考えなのか
とかく何か事が起きれば、家庭は学校のせいにするし、学校は家庭のせいにする。
でも、本当は「手抜き」をしてきてしまった「両方」の責任だと思います。
最初は小さな手抜きだったのでしょうが、お互いに責任を擦り付け合っている間に
大きな手抜きになっていき、気が付けば「手に負えない」ような問題が起こります。
親は「躾」という名の「虐待」をするようになり、学校は「勉強を教える」事以外には
目をつぶるようになってしまいました。
そんな時代背景になると「子供のために身体を張る」という情熱は、かえって自分の
首を絞める要因になってしまいます。
そうなると、教師という職業を目指す人の中には、「子供を育てていきたい」という情熱より
「職業として安定しているから」という理由を持つ人が増えてきたのではないでしょうか?
学校が外の世界と隔離されているのは「外からの悪影響を及ぼさない」為であったのに
いつの間にやら「中で好き勝手にやってもいい」と捉えられるようになったのも、そういった
教育関係者が増えたからではないでしょうか?
そんな状態になると、「イジメ」なんかは「最初から無かった」事にするのが、一番楽で
手っ取り早い方法になります。
先にも書きましたが、イジメという行為は、中学生程度の子供であれば、
(語弊があるかも知れませんが)誰もがする事です。
心身ともに未熟ゆえに、それは致し方の無い事だと思います。
ただ、そういった未熟ゆえの衝動的な行動を見つけたら、直ちに矯正してやるのが
【本当の教育】であると思います。
イジメが起きるのは仕方が無いけれど、それを「ゼロにしていく」のが教育であり
「最初からゼロ」という状態は絶対に有り得ないし、そうだったと言い張るのは
保身の為の卑怯な言い訳にしか過ぎません。
学校・家庭が共に【教え】【育てる】という行為を行ってこそ、子供はまともに育ちます。
大人の誰かが「手抜き」をする事によって、そのしわ寄せはすべて子供に行ってしまいます。
そうならない為にも、大人は【愛情を持って教育】していかなければいけないのだと思います。
追伸:今一番恐れているのは・・・
娘の百が学校に上がる6年後、おそらく担任の先生が俺の子供ぐらいの年齢であろうことです。
普通に「平成生まれ」の先生が担任になったりするんでしょうが、昨今の平成生れの
若者を見ていると、俺世代との常識のギャップがありすぎて・・・
正直、怒る気にもならず、呆れ返ることが多いので・・・
場合によれば「担任に説教」してしまう場面が起こらないとも限りません。
俺自身がモンスターペアレントと呼ばれない事を祈る限りです。(笑)